フリーランス 創作

「意を汲む」というお話し

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こんにちはべん(@hacoven)です。
フリーランスでお仕事をさせていただいていると
日々たくさんの人たちと出会います。

相性良くお仕事が進む場合もあるし、
ちょっとギクシャクすることだってあるんですよね。

何が違うのか…

全ての人に”共通しているように見える”のは、
日本国内であればほぼ間違いなく日本語をしゃべるということ。

でもこれは見せかけ。
じつは共通言語なんてないんです。

 

「月光」は爽やか?

駆け出しの頃、こんなことがありました。

ある広告案件で、監督さんからのオーダーは

  1. 歌はいらない。インスト楽曲。
  2. 爽やかにしたい
  3. エイベックスっぽくしたい。(なんじゃそりゃ…)

で、その後リファレンスの音源が送られてきました。

鬼束ちひろ「月光」 ∑(゜∀゜)

もうビックリ…
なぜ…

  1. 歌ものである。
  2. 爽やかではない。
  3. エイベックスでもない。

嫌がらせかと思うよね…本当に。

極端な例ですが、実際に起こり得るし、
その後も様々な現場で似たような経験をしました。

でもね、
監督さんは冗談でもなければ、嫌がらせでもない。
本気です。

今の僕なら、

  1. インスト楽曲のオーダーリファレンスに歌ものは絶対に使わない。
    →選曲のし直し、こちらからのリファレンスの再提案。
  2. ”爽やか”の真意を探る。
    →時間があれば飲みにでも行ってその人の感性を観察。
  3. レコード会社の色、印象なんて十人十色。→気にしない、無視。
    →別角度からの真意を探す。

人それぞれ感性が違う、表現が違う、語彙力も違う。
味噌汁の味が家庭ごとにまるで違うのと同じように
人それぞれ培ってきた文化は違うのです。

説明の必要な音源なんていらない

営業先のプロダクションで
ある音楽プロデューサーに言われたことがあります。

「自信作なんていらないよ。」

????

当時何を言ってるのかさっぱり分かりませんでした。
だってめっちゃ気持ち込めて大事に作ったプレゼン音源。
なんとか自分をPRして気に入ってもらいたい一心で書いた曲。

自信作になるまで磨き上げて来たわけだから、
意味がないって、なんて失礼な大人だ!!
って怒ったなぁ…

限られた予算と時間

もちろん音楽的に優れている、高い品質であることは大事なことです。
が、当たり前過ぎて加点対象にはならなかったんです。

その品質にたどり着くのにどれ位の時間を要して、
その1曲以外に捨てた駄作はどれくらいあるのか。

その自信作に対して、無茶な修正オーダーをされた時にどこまで柔軟に対応できるのか。

それが知りたいんです。そこが真意です。

限られた予算と時間の中で、納得いくまで、
湯水のごとく時間を使える現場なんて皆無です。

どれだけ最短距離で監督のイメージを具現化して、さらに越えていけるか。

そのためには最速でオーダーの「意を汲む」必要があります。

なるべく抽象的に

僕が日頃行なっている対策は、
なるべく抽象的にディレクションをしてもらうこと。
特に音楽畑ではない監督さん、演出家さん、プロデューサーさんからの
ディレクションには気をつけています。

”鬼束ちひろ”みたいに具体的過ぎるとむしろピントが合わないんです。

キラキラしてる感じ。
キュンキュンする感じ。
風が吹く感じ。
派手にしたい!

なんて具合に、抽象的なことを感情的に伝えてもらう方がいいです。
直接的な音楽的表現に落とし込むんじゃなくて
同じ「絵」を書くんです。

風は強いのか、夏か冬か、
感動して泣くのか、悲しくて感情移入して泣くのか、

CMの案件なら、音楽話ではなくて
そのCM作品の話しをします。
どんな作品にしたいのか。

当たり前のようだけど、なかなか難しいことです。

特に音楽人間は「音楽」に囚われて視野が狭いことが多い。

ここが分からないと
「めっちゃいい曲を書く素人」
になっていきます。

これでもか!っていうくらい相手の立場に立って「意を汲む」ことが何より大事なスキルだと思います。

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